【Yamakara東京】富田 祐輔

多くの人を山に誘い、みんなを「笑顔=幸せ」にできる。
ツアー登山の意義もそこにあると思うんです

「Yamakara」はフィールド&マウンテンの登山ツアー部門であり、富田祐輔さんは現在Yamakara Tokyoで事業部長と企画担当を務めています。

前職の大手旅行会社時代にも登山ツアーに関わる仕事をしていた富田さんは、なぜ転職を決意したのでしょうか。きっかけは「自分がどこを向いて仕事をしているのか、わからなくなってしまったこと」だったそうです。

■成長していくこの会社で、自分の力を発揮したかった

――前職でも大手旅行会社で登山ツアーを担当、1つのチームを率いるポジションに就いていたそうですね。なぜ、フィールド&マウンテンに転職を?

転職のひとつのきっかけになったのは、業務提携をしていたある会社の方からのひと言でした。僕たちが運営していたWEBサイトを見たとき、その方に「このサイト、まったくユーザーの方を見てないですね」「富田さんはどこを向いてお仕事をされているんですか?」と言われてしまって……。

ガツンと殴られたようなショックを受けましたね。たしかに当時の自分は、上(会社全体や上司)ばかり見て、お客さんのことを数字上でしか見てなかったところがあって。それでしばらく、「僕はいったいどこを向いて仕事をしているんだろう」と考え込むようになってしまったんです。

そんなタイミングで、(フィールド&マウンテンの社長である)山田と食事をする機会があったんですよ。

――もともとフィールド&マウンテンのことはご存じだったのですか?

ツアー参加者の登山道具のレンタルをお願いしていたので、「やまどうぐレンタル屋」の責任者だった松原とは面識がありました。山田と会うことになったのも、彼を介してです。

僕が仕事のことで悩んでいるという情報は、すでに松原から山田の耳に入っていたんでしょうね。山田は会ったその日に「いつから来れそう?」と単刀直入に聞いてきましたから(笑)。しかも、入社を決めたわけではなかったのに、「来月うちの会社の忘年山行があるから、ぜひ参加して」と誘われてしまって。

――怒涛の展開ですね(笑)。

本当に。訳がわからないうちに他のスタッフと山に行き、忘年会にも誘われて、いつの間にかメンバーになっていました(笑)。ただ、そうやって半ば強引に引き込んでもらえたことは、すごく嬉しかったんです。自分はここにいていいんだと自然と思えましたから。

――フィールド&マウンテンのどこに魅力を感じたのですか?

同じ業界にいたので、Yamakaraのことは当然知っていました。やはり「登山用具レンタル付き」というのは圧倒的な強みだし、山田淳というトップのキャラクターも目立っていてすごいなと。Yamakaraという登山ツアー事業もフィールド&マウンテンという会社もこれから必ず成長していくだろうと、その将来性に惹かれました。そんな会社で自分の力を発揮していきたいと思えたんです。

■お客さんの方を向いて、適正な値付けを

――フィールド&マウンテンに入社した富田さんはYamakaraの企画担当になります。前職でも登山ツアーに関わっていたわけですが、仕事の進め方の違いなどで戸惑うこともあったのでは?

前職との違いを最も感じたのはツアー料金の考え方ですね。長年登山ツアーの企画に携わってきたので、経験上「このツアーだったら、だいたいこのぐらいの値段で売れる」という肌感覚は身に付いていました。Yamakaraでもそれまでと同じような値付けをしていたのですが、山田からはよく「収益率を下げてもいいから、もっと値段を下げて」と言われたんです。

はじめは「この人、何言ってるんだ!?」と思いましたよ。前の会社では良いツアーや人気のツアーは1円でも高く売るのが当たり前でしたから。「高付加価値=高単価」をずっと追求してきたんです。

――でも、山田さんは「もっと安くしろ」と。

ええ。ただ、安くする代わりに「同じツアーをもう1本出そう」と言うんです。そうしたやりとりを重ねる中で、うちの会社が何を目指しているのかが徐々にわかってきました。

一人のお客さんが1年間で登山という趣味に使える総額はだいたい決まっています。だから出来るだけ多くの山に登ってもらうにはツアー料金は抑えなきゃいけないわけです。ただ、それだけだと会社の収益は減ってしまう。だから、代わりにもう1本ツアーを出してそちらもしっかり集客をしていこうと。そうすれば全体で収益増につながるし、山に行く機会をより多くの人に提供することもできます。

――そもそもの考え方が違うわけですね。

そうなんです。収益ありきではなく、まずは「お客さんが山に行く回数をどう増やすか」という発想が先にあり、それを実現することで収益がついてくる、という順番で。はじめは戸惑いもありましたがすぐに「絶対こっちの方がいい」と思えるようになりました。お客さんの方をしっかりと向いて適正な価格で売っていく。お客さんも会社もウィンウィンになれているところが素敵だなと。

――他にフィールド&マウンテンに転職してよかったことは?

お客さんとの距離が近いことですね。前の会社は規模が大きかったので水平分業が進んでいましたが、うちの会社は企画担当が1から10まですべてのことをやらなきゃいけないんです。例えば出発のときの立ち合いも企画担当者がやっています。それは大変といえば大変なんですが、一方でお客さんの顔を見て、話ができるタッチポイントにもなっていうというか。実際自分が企画したツアーに参加したお客さんから「この前は楽しかったよ」と直接言われるのはめちゃくちゃ嬉しいんですよ。

――お忙しそうですが、お休みは?

しっかり取ってますよ。以前は趣味の合気道やサーフィンをしていましたが、子供が生まれてからは公園で子供と遊ぶのが休日の日課です。今はまだ1歳半なのですが、ゆくゆくは山とかキャンプとかに連れて行きたいなと思っています。

■ツアー登山の可能性を追求したい

――Yamakaraで働くようになって、「ここが成長したな」と感じることはありますか?

一番変わったのはやはり、1人1人のお客さんのことをすごく考えるようになったことですね。「このツアーは誰に売っているのか」「誰をイメージして企画したのか」と聞かれれば、漠然としたターゲットやペルソナ(ユーザーの仮想的な人物像)ではなく、具体的な個人が自然と出てくるようになりました。「この企画は○○さんが行きたいって言うと思います」みたいな(笑)。

――お話を伺っていると、充実したお仕事ができていることが伝わってきます。

山で撮った写真を見ると、みなさんすごくいい笑顔で写っているじゃないですか。最近あるお客さんのご親戚の方 とお話をする機会があり、その方が「○○のこんな笑顔、今まで見たことなかった」とおっしゃったんです。その言葉を聞いたとき、僕らの仕事ってそういうことなんだと腑に落ちたんです。

1人1人の方が山で見せている表情って、きっと普段とは違う特別なものなんです。そうした笑顔を引き出すのが山という場所であり、そこにお連れするのがわれわれのビジネスの根幹なんだなと思えたんです。

――これから新たに取り組んでみたいことはありますか?

インバウンドツアーですね。不十分な道具で日本の山に登ってつらい思いをさせるのは申し訳ないし、それじゃ日本の山の良さは伝わらないですからね。

また、夏の富士山で入山規制が始まりましたが、オーバーツーリズム対策や山の環境の適正な管理ということを考えれば、ツアーが貢献できる役割ってまだまだあると思うんですよ。実際キリマンジャロは現在ではツアーでしか登れないですから。日本社会や登山界に対してツアー登山ができることを日々の仕事を通じていろいろと模索していきたいですね。

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